日本はサービス第一の国だということには、みなさんも大いに賛成してくださいますよね。
仕事の関係で頻繁に日本に行きますが、ショッピングだけでなく、レストランのサービスの質にも大いに満足しています。例えば温泉旅館では、到着から出発まで、送り迎えも食事も宿泊も、至れり尽くせりのサービスにとても温かい気持ちになります。西洋式のホテルでは、温泉旅館ほど従業員との直接の接触はありませんが、お客さんが部屋に入る前に、彼らはすでに歓迎のための準備をしっかり行っているのです。
その中でも私が最も気遣いを感じるのは、部屋の中にその部屋を掃除した責任者の名前を書いたカードが必ずあり、ホテルの規模が大きいか小さいかに関わらず、部屋の引出しの中や机の上に必ず「支配人への手紙」が置かれていることです。開けてみると、中には大体宿泊の感想に関するアンケートが入っていて、ホテルに対する提案を書く欄もあります。私はアンケートに書き込んでカウンターに持っていったことがありますが、驚いたことに、プレゼントをもらってしまいました。こうした細かいことは取るに足りないことのように思えますが、これらによって私は彼らの心配りを一つ一つ感じることができるのです。
六月に大阪に講演に行った時の、梅田駅付近のあるホテルのことを思い出します。その日、私はコップに入った水を全部飲まないまま、慌ただしく出かけました。夜部屋に戻って、私は感動的な光景を目にしました。そのコップは少しも動かされず、水が捨てられもせず、上には紙が置かれ、そこには「掃除の時に判断できなかったので、このままにしておいたことをお許しください。」と書いてありました。
もちろん彼らは、私のために新しいコップも用意してくれました。普通なら、これを飲み残した水と判断して、捨ててしまってもおかしくありません。でも水を残しておいて、部屋に戻ってから飲もうとするお客さんもいるかもしれないと考えて、彼らは何の処理もしなかったのです。私はその紙を読んだ時、掃除係の人が机の前で、一杯の水のために慎重に考えている様子が頭に浮かびました。
たった一杯の水のために?いいえ、たとえたった一杯の水であっても、と言うべきでしょう。お客様のものであれば、すべて大切にするという態度を持つことが、私に深い印象を残したのでした。
先日、私は日本の友人に、ある物を台湾に送ってくれるように頼みました。包みが届いた時、私はその上に貼ってある紙に気がつきました。そこには、「運送会社のみなさん、これは受取人が非常に楽しみにしているものなので、恐れ入りますが気を付けて運んでくださるようにお願いします。」というようなことが書いてありました。この紙を見た時、私は日本人のサービスの原点が何であるのかを真剣に考えました。
最も簡単な言い方をすれば、それは「お客様の立場に立って考える」ということではないでしょうか。一人一人が相手の立場に立って考え、物事を処理することができたら、世界はとても平和ですばらしい場所になるに違いありません。日本のサービスの原点に乾杯!
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< ★ この文章は東京流行通訊 2012年8月31日 第33号(通巻第327号)
より ★ >
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