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勝利のトンカツ

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日本のトンカツ定食には、愛と恨みと両方を感じています。

愛しているのはトンカツがおいしいからであり、恨んでいるのはその恐るべきカロリーの量です。伝統的な日本のトンカツ定食の内容は、分厚い一枚のトンカツに、お皿の上に小山のように盛り上げられたナマの千切りキャベツが添えられ、味噌汁とお漬物がついてくるので、かなり満腹感があります。

トンカツの作り方は、筋切りをした柔らかくてジューシーな厚い豚のヒレ肉を切り分けて小麦粉を軽くはたき、卵汁とパン粉をつけて揚げ、最後にトンカツの黄金色の衣の上に特製の甘酸っぱいトンカツ専用ソースをかければ完成です。一つ取って大きな口を開けてかみつくと、さくっといい音がします。さらにおいしい日本のご飯を一口食べると、あ~、そのすばらしい味は言葉では表現できないほどです。

名古屋での食べ方は、トンカツを甘味のある味噌だれに浸して味をしみこませるもので、味噌カツと呼ばれ、名古屋のグルメの代表として広く知られています。

また、トンカツは「カツ」と「勝つ」の音が同じなので、日本の家庭料理の一つであると同時に、日本人にとっては勝利のシンボルになっています。そこで重要な試合や試験の前に、日本人は縁起をかついでトンカツ定食を食べ、自分や友人たちを励まします。

近年は栄養学者によって、トンカツの油が多すぎ、朝から食べると消化に悪くて胃の負担になり、カロリーが高いので血糖値が上昇しやすく、居眠りするようになるなどのマイナスの効果が指摘され、トンカツは受験生の必勝メニューからはずされるようになりました。

トンカツはご飯と組み合わせるだけでなく、トンカツサンドやカツカレー、たまねぎや卵汁と一緒に煮たカツ丼など、子どもや男性にたいへん好まれています。

そうそう、日本の推理ドラマでは、刑事が取調室で犯人を尋問している時、食事の時間になるとカツ丼が登場します。そういう場面に遭遇するたびに、どうして天丼など、他のものではなくカツ丼なのか、不思議でたまりませんでした。そこでネットで調べてみたところ、1995年に森茂久弥が主演した映画「警察日記」に出てくる場面が由来になっているとわかりました。

尋問する時にカツ丼を出すのは、刑事が人情味によって事件を解決する様子を表しているのですが、おいしいもので犯人を感動させることに効果があるのかどうか疑問です。1963年にある誘拐殺人事件の取調べの途中で、刑事が出したカツ丼を食べて犯人が自白したという話があり、このことによって「取調室のカツ丼」というシーンが日本人の心に深く刻まれたのでした。

トンカツの日本における定義とその影響力は、このように深いものなのですね。

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< ★ この文章は東京流行通訊 2012年9月21日 第36号(通巻第330号)より ★  > 

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