親切な忠告はビジネスの道?
日本で買物をしていると、商品にも売り場にも何かを教えてくれる表示をたくさん見かけます。
割り箸の袋には、「楊枝が入っているので、開けるときに手を刺さないように」、カップめんには、「湯を入れたりスープを飲んだりするときに火傷をしないように」、玩具の箱や包装には、何歳以上の子どもに適しているとか、袋は苦味があるので子どもの口に入れさせないようになどの記述があります。これは政府が決めた商品の表示基準ではありますが、まるで親切な店員さんが目の前に立って、丁寧に指導してくれているかのようです。
前回私が東京のあるスーパーの中を歩いていた時、ちょうど台風が接近していた時だったので、スーパーの中には「台風接近中」という表示が出されていました。これは、お客さんたちに多めに食糧を買って準備しておきなさいと言っているのかもしれませんので、ビジネスの手法とも言えますが、よく考えてみると、みなさんのそばで毎日こんなに親切に忠告したり、これに注意しなさい、あれにも注意しなさいと言ってくれる人がいるでしょうか?
デパートやショッピングセンターだけでなく、女性が最も頻繁に訪れるお手洗いでは、狭い空間内の四方八方にいろいろなことを書いた紙が貼ってあります。それぞれのボタンの使い方の説明はもちろんですが、私がいちばん嬉しかったのは、目の前に貼ってあった、忘れ物をしないようにという貼紙でした。その紙を見て、私は忘れ物をしていないかトイレの中をもう一度見回しました。ですから、これらの表示は実はとても効果の高いものなのです。こうした顧客サービスの精神は、全世界でも日本が最もすばらしいのではないでしょうか?
買う前のサービスもよく、アフターサービスもさらにすばらしい日本企業は、顧客の商品に対する反応やクレームについても、顧客サービス専門の電話番号を設置して、販売後の問題やトラブルを処理しています。たとえ小さなボールペンを一本買っただけでも、家を一軒買っても、土地を買っても、文句がある場合は、こうしたサービス要員が間違いなくできる限りの方法を考えて丁寧に応対してくれ、顧客の怒りを一瞬にして和らげ、次の機会にもこの会社の製品を買おうという気持ちにさせてくれるのです。彼らの力には、本当に心から感服してしまいます。ですから、ものを買う場合(特に高価なものを買う場合)、日本で買うのが一番です。品質とアフターサービスが保障されているからです。
ところで、こうした親切な注意書きを読んだ時、私はたくさんの美しい日本の言葉を勉強するだけでなく、自分もいつも柔軟で親切な心を持って、周りの人やものに接しなければいけないなあと思います。一人一人が自分のことを、あちこちで人のためを思い、他人に忠告してあげる親切な注意書きの紙だと考えたら、この社会はとても穏やかで優しいものになるのではないかと思います。
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★この文章は 東京流行通訊 2011年10月1日 第36号(通巻第282号 ) より
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杏子さんこんにちは
自分の周りの日常的な風景の中に杏子さんが感心するようなものが日本にはあるんですね。暮らしていると当たり前で見えなくなっていたのかもしれません。
杏子さんのおかげで気付けたことが嬉しいです。いつも新しい発見をさせてくれてありがとう
私は台湾人だから、日本へ行くとき、いつも台湾人の目で日本を観察して、台湾のことを比較しています。本当にささやかなことから面白さや楽しさいっぱい発見しましたよ^^。
日本で感心したのは、お釣りの返し方。まずお札を返して次に小銭を返すのです。最初「?」と思いましたが、お札と小銭はしまうところが違うのでこれはお客の立場を考えての話。台湾ではお札と小銭をいっぺんに返すのでしまいにくいです。会員制のところは、カードの上に小銭を乗せて返す。これって返すほうは楽だろうけど、受け取るほうはしまいにくいし小銭が滑り落ちやすい。でも店員はお客がどうなろうともうしらんぷり。「じゃまだ」と言う目で見られます。他の人はどうなんだろうと思ってみてると、みんなお札と小銭をぐしゃぐしゃにしてポケットに突っ込みます。こういう返し方に対応していると、そういう性格になってしまいます。こういうところ、日本を見習って欲しいですね。
私もHiromichi Koboriさんと同感です。
日本に居ると当たり前のことだけど、
杏子さんや東方異人さんに褒めて頂けると
改めて日本の良さを発見し、
とても嬉しい気持ちになりました。
ビジネスとは関係ないけど、
去年初めて台北に行ったとき、
バスを待っている時やベンチで休憩している時に
気軽に話しかけてくださった方々や
電車の中でさっと席を譲ってくれた高校生たちに
私はとても感動しました。
外国に行くと新たな発見がたくさんあって
本当に楽しいですね。
りんごさんお久しぶり。
そうです。いいところばかり、悪いところばかりの国はないです。
日本は治安がいいってことになってるけど、「ホームレス狩り」なんて何の意味もなく襲われるのは台湾人からは理解できません。
お金も家もないかわいそうな人だったら、襲う台湾人は居ません。
箱でも置いておけば相当の額を恵んでくれるはずです(笑)。
東方異人様
本当にそうですね。
国違えば文化も違い、文化違えば人もまた異なります。
(更に、個人個人の性格もまた異なりますが。)
外国語を学ぶと、その国の文化も学ぶことになりますが、
私は異文化間コミュニケーションに大変興味があります。
今は、台湾、中国、韓国に関する本をよく読んでいますが、
たとえば台湾と日本の関係について勉強する時、
東方異人さんや杏子さんのように両国を良く知る「生の声」を
聞くことが最も有意義であると思っています。