結婚って、本当に難しいの?
ある日私は、東京の西麻布にある雰囲気のいいポルトガル料理の店で夕食を食べていました。ふと見ると、長いテーブルで食事をしている人たちがいます。男性と女性がそれぞれの側に分かれて坐り、グラスを手に、好感を持った相手に自分をアピールしていました。ある女性は声を大きく張り上げ、何人かの無口な男性たちは呆然として坐っています。話が合ったカップルは店の外に出て、二人だけで近距離で甘い時間を過ごしています。それを見ていて、私は本当に驚いてしまいました。日本のテレビドラマに出てくるのとまったく同じだったからです。
みなさんは「婚活」という言葉を聞いたことがありますか?これは造語で、日本語では学校の課外活動を「部活」と言い、就職先を探す活動を「就活」と言いますが、結婚をするために一生懸命相手を探す行為を「婚活」と呼ぶのです。「就活」と「婚活」はいずれも、社会学者の山田昌弘さんが発想した新しい名詞です。婚活に参加する人は、大体30歳から40歳ぐらいの社会人で、統計によれば日本では毎年数十万人の人々が、一日も早く結婚式を挙げるために、お見合いパーティに積極的に参加しているそうです。
ある日本のドラマのテーマが、ちょうどこの婚活でした。主人公が様々な合コンに参加しては失敗する物語に、大いに同情したものです。性格も明らかによく、条件も決して悪くない人なのに、誰も好意を持ってくれないのです。特に、毎回合コンに出て、人数があまりに多いためにわずか1分ほどの会話で自己紹介をしなければならないという場面には、こんなことをしていて相手のいいところが少しでもわかるのだろうかと疑問を感じました。そのため、もともと内向的で、外見もごく普通で、話も上手ではない人は、仕事を探す時と同じで、相手に深い印象を残すことができなければ、誰にも注目してもらえないということになります。そこで、婚活にがんばって参加するだけでなく、しゃべるのが苦手な男性は会話能力を磨く講座に申し込み、女性たちはダイエットや整形をしたり、家事技術を身に付けたりしなければ、自分を売り込む機会はなかなかありません。
よく行われている普通の婚活をするのも、実は簡単なことではありません。まずお金を払って「婚活」の企業の会員になり、さらに大きなコストを使って衣装や小道具を手に入れ、自分を飾らなければなりません。そのため、婚活の前には「婚活資金」を準備する必要があるのです。
結婚するのが本当にそんなに難しいのでしょうか?実のところ、私も難しいと感じています。男女双方の要求する相手の条件が高すぎるだけでなく、現代人のそれぞれの個性が強く、相手に譲ることを知りません。また、一人の自由に慣れてしまって、責任を負うことに慣れていません。年をとって結婚したくなってから、自分がたくさんのチャンスや相手を逃してきたことにようやく気が付くのです。また、女性は男性の年収を求め、男性は女性の年齢と家事の技術を求めます。こうしてえり好みをしていては、いつになったら結婚できるかわかりません。神のみぞ知るといったところですね。
そこで、私は一つの結論を出しました。もしうまく結婚したかったら、今日から徹底的に努力して自分を改造し、お笑い芸人のようにしゃべり、上流社会のような気質を持ち、スターのようなスタイルを身に付けることです。そうしてから婚活に参加すれば、きっと向かうところ敵なしになるでしょう。
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☆この文章は 東京流行通訊 2011年7月22日 第27号(通巻第273号)より
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