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安全距離

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車を運転する時には、突発的な事故が起きないように前後に距離をとらなければならないことは誰でもよく知っていますが、実は人と人との間にも安全な距離をとる必要があることをご存知でしたか?

私は以前、店員や係員がお客さんとの間でうまく距離をとるための方法を教える本を読んだことがあります。立つ位置やお辞儀の角度、さらにはお客さんと話す時の視線などまで決まりがあるのです。
 
ある日、東京のレストランで、二人のサラリーマン男性が出会う場面に遭遇しました。先に来ていた人は席に坐っていて、後から来た人はちょうど彼の前に坐りました。彼らの間にはうまい具合に、高からず低からずといった高さの仕切りがあって、彼らが顔を合わせないで済むようになっており、ちょっと伸び上がると相手が見えるという感じでした。二人は眼を合わせると、普通に挨拶をしました。挨拶した後は、当然一言二言話すことになりますが、間に仕切りがあるので、話そうとすると伸び上がらないと相手の反応が見られません。彼らはその状態を変えることなく、できる範囲でコミュニケーションを図っていましたが、とても大変そうに見えました。
 
台湾で同じような状況になったら、台湾人は話しやすくするために、すぐに相手の隣の席に移るでしょう。でもよく考えてみると、これが非常に一面的な考えであることに気が付きました。昼休みの貴重な時間なのですから、みんな一人で静かに食事をしたいに違いありません。不運なことに、知り合いや同僚に出会ってしまったら、のんびりすることができなくて、食事もおいしくなくなるかもしれません。
 
日本で長く仕事をしている台湾人の友人がこのように言いました。「昼休みに行った店に社長がいたら、日本人の同僚たちはすぐに出て別の店に行くよ。」「休暇の時は、みんな約束して会ったり食事をしたりしないし、携帯も切っているよ。」私はなぜだかわかりませんでした。彼によれば、「昼休みと退社後の時間はプライベートなものだから、同僚と無理に付き合いたいという人はいない」のだそうです。

その話を聞いて、思い出したことがあります。日本(特に東京)では、カフェでもファストフード店でも、レストランでも、一列に並んだ一人用の席があります。みんな同じ方向を向いて一列に並んで坐り、それぞれが本を読んだり、携帯でネットサーフィンをしたり、イヤホンで音楽を聴いたりしながら、無表情で目の前の食べ物を咀嚼し、純粋な一人の世界に入り込んでいます。
 
人と人の間には少し距離がなければ、息が詰まってしまいます。私は、この理論は親子でも、恋人でも、夫婦でも、同僚でも、師弟でも、友達でも当てはまると思います。でもこの距離はあまり多くとらないようにした方がいいですね。そうでないと、助けが必要になった時、周りに誰もいないということになりかねませんから。

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★ この文章は  東京流行通訊  2011年7月29日 第28号(通巻第274号)より

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2 則留言

  1. そうかー。
    台湾人なら同僚同士で普通に食事もするし特別に公私は分けないけど。

    • 對啊
      還是覺得台灣人的個性比較「可愛」
      可以說是沒心機、比較開朗~
      日本人 無論做什麼事情真的都顧慮好多喔

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