みなさんは、「麒麟の翼~劇場版・新参者」という日本映画をご覧になりましたか?
物語の舞台は、東京都中央区の日本橋に設定されています。「新参者」はもともとテレビドラマで、人気が高かったので映画版が作られました。一人の男性の死体が日本橋で見つかりましたが、彼は腹を刺されてから八分間の間、助けも求めずに歩き続け、最後に橋の上の翼のある麒麟像の下で息絶えました。
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日本橋は長さ49メートル、幅27メートルで、最初の木製の橋は1603年に江戸幕府と同時に誕生し、1604年に五街道の起点に定められました。江戸時代には商人の街でしたが、その後、日本経済の中心に発展しました。現在のルネッサンス風の石橋は、1911年に建造されたものです。橋の中央には、道路元標が埋め込まれています。近くにある中央通りの両側には大型の百貨店や商業施設や、たくさんの歴史を持つ老舗が並んでおり、日本銀行本店や東京証券取引所などの金融機関もあります。
小説の作者である東野圭吾は、巧みな手法で物語の筋と登場人物たちを日本橋と結びつけています。事件発生の地点であるだけでなく、日本橋は登場人物一人一人にとって特別な意味を持っています。映画の中でしばしば登場する日本橋と周辺の風景を見ていて、私はふと新しい視野が開けたような気がしました。
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ちょっと恥ずかしいのですが、私が初めて日本橋に行ったのは、数年前に東京のガイドブックを出版するための取材をした時でした。その時私は、駅の近くの有名な百貨店や商業施設を巡り、昭和六年創業の洋食の老舗たいめいけんでオムライスを食べ、そのビルの中にある凧の博物館を見て、最後に日本橋の下を歩いて何枚か写真を撮っただけで仕事を終えました。
最近になってこの映画を見て、物語の説明から、日本橋の上の二つの動物のような彫像は、中央の柱にあるのが麒麟像で、橋の端部の柱にあるのが獅子像だということを初めて知りました。ここは日本の道路網の起点なので、背中に翼のある麒麟像は、ここから出発して日本全国各地や、さらに遠くまで飛んでいくことを象徴しているのです。映画を見て、私は作者の観察力と連想力に感嘆しました。
日本橋に立って写真を撮っている時、他にも多くの人が立ち止まってカメラや携帯を持ち出して麒麟像や道路元標を撮影しているのに気づきました。外国から来た観光客だけでなく、日本人も日本橋をかっこいいと思っているんですね。
去年日本橋は、架橋百周年を迎え、あちこちの店で百年記念商品を売り出して祝いました。私は日本橋の上に立って、悠々と流れる川の水を眺めながら、百年の歳月はどこまで流れて行ったのだろうと思いをはせたのでした。
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< ★ この文章は東京流行通訊 2012年8月10日 第30号(通巻第324号)より ★ >
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